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キリギリス

弾けもしないのに
買ったキーボード
部屋の片隅で
埃、被ってる

何処か寂し気で
虚ろな雰囲気
僕に伝えてる
訴えかけてる

気のせいなのかな?
でももしかしたら
弾いて欲しいのか?
あんなメロディを

そう
頭に幾つも
ふわふわ浮かんで
しぶとく留まり
リフレインしては
膝を叩いてた
あのメロディたち
僕は思い出す

弾いてみようかな

そっと指先を
鍵盤に載せる
部屋に響く音
まだ虚ろな音

指を動かすと
少し震えだし
情けない自分
溜め息が漏れる

キーボードなんて
弾ける訳ないよ
僕は諦めて
身体を投げ出す

視界の先には
何か言いたげな
鍵盤が並ぶ
心がチクリと
音を立てている

思えば僕は、いつだって
こうして色んなモノから
逃げて自分を守ってた

そんな生き方じゃ、誰にも
相手にされなくなるって

埃被ったキーボード
部屋の片隅で必死に
僕に伝えようとしてた
たぶんそうだと、思いたい

僕は鍵盤を
再び鳴らした
今度は必死に
指を動かして

何度も、何度も
間違えたけれど
それでも構わず
鳴らし続けてた

これはあまりにも
歯応えがあって
やりがいがあって
イライラするけど
ワクワクもするね

まるで僕の相方みたいだ
人間なんてそんなモノだね

子供の頃に思ってたより
馬鹿に出来ないし真っ直ぐだし
嘘もつくけどいいとこあって
だらしがないのも許せてきて

近寄ってみると思いの外
肌の匂いも、温度も、汗も
心地が良くて、春も覚えて
まだ幼かった頃の僕の
頑なな心、溶けて消えた

僕の青い春
まだまだこれから
歳を取ったって
相方と共に
春を謳歌する
気分は若者

そしていつの日か
このキーボードで
相方の為に
愛の唄、作り
二人で唄おう
肩を寄せ合って
いつまでも共に

そうすればきっと
季節が変わって
冬に飲まれても
生きた証なら
残せているから

僕ら、キリギリス
唄は、人生の
轍そのものだ

誰にも奪えや
しないって事は
僕らの瞳に
ちゃんと書いてある

人の作る唄
アカペラで唄う
それだけの日々は
もう卒業だね

庇の下から
一歩踏み出すと
暖かい陽射し
心弛ませる

だけど油断なら
捨ててしまおうか
二人で一緒に
捨ててしまおうか

いつでも二人で
世界の藻屑に
なれる覚悟さえ
決めておくべきで

心のよすがは
二人の絆で
頼れるモノなら
何にでも頼り

それでも己の
二本の脚さえ
地についていれば
飲まれる事なく
生きていけるから

だから大丈夫
キリギリスだって
生きていけるから

君に伝えるよ
何度でも言うよ

……そうして
肩を竦ませて
後ろで震える
相方にそっと
手を差し伸べたら

そうっと笑った

風が吹き付ける
頬を刺激する
するとミシミシと
割れた胸軋む

僕は気になって
顔を覗き込む
ドキドキしながら

君の出す“答え”
その拠り所も
ちゃんと知りたくて
勇気振り絞る

次の瞬間に
僕は泣いていた

君の瞳には
僕らの確かな
明るい未来が
ちゃんと映ってた

僕はそれだけで
きっとそれだけで

声が潰れても
血が滲んだって

君の為になら
いつまでも唄う

君の笑顔なら
僕に幸せを
まだ生きる意味を
思い知らせてくれるから
だから

キリギリスだって
きっと大丈夫

生きていけるから
生きていけるから……

冗長ではありますが、読みどころもあると思っています。
もう少しコンパクトにまとめる事が出来たなら、より良くなっていたでしょう。
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